映画版の”
Dreamgirls"、見てきた。良く出来たミュージカル映画だね。
俺はこれの舞台版のほうは、一度も観る機会がなかったので、舞台版と映画版の比較をするわけにいかないのだが、それでも舞台版の話から入ってしまおう。特に気になる作品というわけではなかった”Dreamgirls”を観たいと思い始めたのは、何年か前のトニー賞のパフォーマンスで、Jennifer Holidayが最大のShow Stopperである“And I am telling you, I am not going”を歌うのを聞いてからだ。 とにかく、聞く者を有無を言わせず引き込んでしまうその迫力に圧倒されて、作品全体を観たいと願い続けてきた。だから、この映画でも注目したのは、一番上にクレジットされているBeyonce Knowlseのほうではなくて、そのJennifer Holidayが作り上げた役であるEffieのほうだった。実際、この映画の中でも一番存在感のある役は、今回はJennifer Hudsonが演じているEffieであった。彼女のうたう2大ナンバー、“And I am telling you, I am not going”と“I am changing”は素晴らしかった。正直、この映画、日本での宣伝の仕方、間違えたのではないか?映画のクレジットでは、メジャーなスターであるBeyonceとEddie Murphy、Jamie Foxxがトップになっていて、日本の宣伝ポスターでもこの3人を前面に出しているのだが、本編を見るとどうみても中心になっているのはHudsonのほうだ。客の中にはどこに注目してみていいのかわからず混乱した人もいるのではないか?
ミュージカル映画というと、どうしても劇中で登場人物が歌うという場面に対する違和感をどう処理するかというところが気にならずにはいられないのだが、この作品では半分歌謡映画のようにすることで不自然な部分を抑えようとしていたと思う。例えば“I am changing”は、Effieがオーディションで歌うナンバーなのだが、歌詞はEffieの信条の吐露とう風になっている。
それと、これは俺だけかもしれないけど、作品全体の「背骨」の部分がどうも弱いように感じた。Effie以外の登場人物のキャラがしっかりたっていないのだ。Effieに続いて重要なキャラと思われるのが、Foxx演じるCurtisなのだが、彼の野心でぎらぎらしたところや、Manipulativeなマキャベリアンとしての性格がしっかりと表れるまでに時間がかかりすぎるように感じた。また、Beyonceの演じるDeenaは最後まで、「ただのいい人」で終わっているようにも思える。そのキャラの全体としての弱さが、ストーリー展開の弱さにつながっているように見えて仕方がないのは、俺がミュージカルの最も大事なバックボーンは脚本だと言い続けている「脚本至上主義者」だからだろうか。
最後にひとつ驚いたこと。Anika Noni Roseって、1972年生まれだったの!?ということは、"Caroline, or Change“でCarolineの10代の娘を演じたときすでに30過ぎってこと?あるいは、このパンフが単にミスプリントなのか?